2011年6月11日土曜日

法学部カフェ

北海学園大学の「法学部カフェ」に参加してきた。今回は上田市長が札幌の路面電車の未来を語った。

主催した先生も言っていたけど、カフェというより講演会。
定員50名くらいの教室に、立ち見が出るほどの大盛況。
本当はもっと少人数、近い距離でざっくばらんにおしゃべりできるようなのをやりたかった、とのこと。

今日はちょうど上田市長の誕生日(63歳になった)だったということで、講演会後には参加者みんなでハッピーバースデートゥーユーを合唱!

さらには、”メイド”なゼミ生からの花束授与というサプライズまで!!
樽見ゼミすごいなー、やるなー。
「その子公務員志望なので、ぜひよろしく(笑)」って、贈収賄にならんか心配。

樽見先生が面白いので、今後機会があったらまた参加してみようと思う。
講演内容については以下で述べる。

まとめと感想

重要なのは、まずはあまり費用をかけずにできる「ループ化」と「低床車両化」によって、市民の路面電車に対するイメージを変えてもらう、「路面電車ってこんなに便利だったんだ」と思ってもらうのが第1歩。
そうやって意識が変われば、次の策が打てる、ということだ。

難しいのは、地下鉄との競合があるということ。一番利用客が見込める区間はすでに地下鉄に押さえられていて、路面電車はどうしても苦戦を強いられる。どちらも「大量輸送に向くが柔軟性がない」という特徴があり、一度作ってしまうと容易に路線を動かすことはできない。
つまり、都市の人口分布や商業地の分布を政策的・計画的にコントロールしなければ、路線を生かすことは難しいと言える。
行政と民間の協働力が試されるだろう。まぁ、札幌ならできそうだけど。

個人的には電動バス(トロリーとバッテリーの2モード車)に期待なんだけどなぁ。
札幌は地下鉄が「ゴムタイヤ」で実は鉄道ではない。路面電”バス”と地下鉄で車体を共通化できる余地があって、コストダウンにつながるんじゃないかな、と思う。

あと、ICカード提携の中で市長がちらっと言っていた、サピカの地域通貨的な活用について考えている、という発言が非常に気になった。
市のサービスに使えるようにしたり、サピカチャージの形で市民へ還元したりする、とかなんとか。
これは大いに期待したいところだ。

講演内容から抜粋

・これまでの日本は人口が右肩上がりだった。それに伴って内需も右肩上がりで、ほっといても経済は潤っていた。だが、今や札幌といえども人口減少は避けられない。20世紀とは全く異なる。
・上田市長はまだNPOという言葉が日本で知られていないようなころから市民活動を行っていた。樽見先生とはそのころからの知り合い。NPOを法人化する法制度の必要性を訴え続けていた。その後1997年の阪神淡路大震災をきっかけとして、ようやくNPO法ができた。
・札幌では北大の先生がやってる「ソクラテスカフェ」などもあり、この法学部カフェにも頑張ってもらいたい。
・今札幌市は「魅力都市さっぽろ」というスローガンでいろいろやってる。本当は「創造都市」にしたかったんだけどね。
・全国都市魅力ランキングで、札幌は第1回目~第3回目まで1位。その後も1位2位をキープ。「定住ランキング」ではもう少し下だけど、「魅力(行ってみたい、憧れ、好きだ)」という点ではトップ。
・全国だけでなく、札幌の住人1万人のアンケート結果を見ても実に93%が「好きだ」と回答している。とにかくみんなから好かれている街であることは確か。
・伝統的な建築物が残っている、札幌ドーム(日ハム?)やよさこい祭りのような活気がある、インフラが整ってるなどいろいろ要因はあると思う。しかし最も重要なのは「市民による自治ができている」という空気があるからではないか。市民の意見がきちんと行政に反映され、行政サービスの質が高く保たれていること。市民の社会参加に魅力の秘密があるんじゃないか、と思っている。
・上田市長はマニフェストで路面電車の存続を掲げて当選した。市民が路面電車を残したいと考えていると受け止めている。
・路面電車は札幌五輪のころだから、もう40年以上経っている。地下街もそのころ開通。オープン初日には市民の3分の1が押し寄せて大混雑だったらしい。
・今年の3月12日には新しく駅から大通りまでの地下街がオープン。震災でセレモニーは自粛したが多くの市民が訪れた。6面の縦型ディスプレイは、CGM(コンシューマー生成メディア)との連携を狙っている。
・札幌には地下鉄もある。地下の移動では点と点を結ぶので、途中の街並みを見ることができない。路面電車であれば、街の中の季節の移ろいや人々の活気といった”街の空気感”を味わうことができる。
・現在の路面電車の車両は北海道遺産に指定されており、レトロな雰囲気が観光客にも好評を得ている。しかし、「古い」ことは確かで、現代的な利便性、特に高齢者や身障者に対する配慮という点では非常に劣ってしまっているのが問題となっている。
・路面電車は「観光資源」であると同時に、「市民の生活の足」でなければならない。そのためにやるのが「ループ化」と「低床車両の導入」であり、これにより高齢化の進む地域の移動手段として利便性を高める。乗り場の安全性確保についても対策を行う予定。
・フランスのストラスブールで走っているLRT(次世代路面電車)も、利用者の利便性を追求した上で「機能美」ともいえる美しさを以て都市の風景に溶け込んでいる。
・近いうちに札幌の新しい路面電車のデザインを市民公募するので、皆さんもぜひアイディアを寄せてほしい。
・これに次いで重要なのが「路面電車の路線内の高度利用化」であり、その地域に暮らす人や訪問する人が増えることによる利用者増加を実現する。
・「赤字だから無くせ」というのは簡単だが、それによって引き起こされるデメリットもまた大きい。赤字をなくすには「どうしたら使ってもらえるのか」をとことん突き詰めることが重要。これについては7年間の議論と調査・研究が行われてきた。今は実行の時。

樽見ゼミからの提言

講演後に樽見ゼミで話し合った「市長へのエール」として以下の発表があった。
・通勤電車ならぬ”通観電車”。北大や時計台といった観光スポットを積極的に結んで、観光客の利便性を向上!冬季のさらら列車が人気を呼んだように、路面電車自身も観光資源となると良い。
・ループ化ならぬ”蚊取り線香化”。ぐるぐるとらせんを描くように広がっていく線路でいろんなところに行けるといい。
・”路面ベロタクシー”。線路上を走るかどうかはともかく、路面電車とベロタクシーのコラボレーションは有望だと思う。路面電車は”線”だが、ベロタクシーは”面”で対応できる。
・チンチン電車ならぬ”カンカン”電車。安田 侃さんの彫刻を結ぶといいのではないか。LRTさっぽろの吉岡さんが言う「まちなかエレベーター」のイメージ。KOALA@関西の山根さんからも応援メッセージ。
・サピカやキタカが使えないのを何とかして。

それぞれに対し市長からコメントがあったが、面白いけど現実にはちょっと、という感じだった。
やっぱり、地下鉄と被って客の奪い合いになることや財政難で新規投資が難しいのがネックになっているようだ。

会場からの質問

・路面電車に対する懐疑的な見方については、市が長年にわたって市場調査、マーケット分析などを続けてきた結果、何とかできそうだと見通しをつけていますよ、という回答。
・ICカード対応については、すぐにというわけにいかないが、導入に向けて各所と調整中との回答。
・身障者や高齢者向けにバリアフリーを進めてほしい、については、低床化がまずは第1歩で、乗り場を広くするのは難しいけど、たとえば一部単線化でスペースを確保するなど、検討は進めていると回答。
・自動車との競合については、市内乗り入れ制限などの声も上がっているが、各方面との調整があり、なかなか困難な情勢で、鋭意検討中との回答。
・レールにこだわらず電動バスでいいのでは、については、レールにはレールの良さがあり、行き先が決まっている安心感、定時運行に向いている、大量輸送や揺れが少ないなど、メリットが大きい、との回答。

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